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毎日使う室内ドアがスムーズに開閉できなくなったり、変な音がしたりすると気になりますよね。
それは「建て付け」が悪くなっているサインかもしれません。多くの場合、ドアの建て付けはご家庭にあるドライバー1本で調整できます。
この記事では、室内ドアの建て付けが悪くなる原因から、初心者でも簡単にできる調整方法、注意点までを詳しく解説します。大切な住まいのメンテナンスを自分で行い、快適な毎日を取り戻しましょう。
室内ドアの建て付けが悪くなる主な原因とは?

室内ドアの建て付けが悪くなるのには、いくつかの原因が考えられます。ドアや蝶番の状態をよく観察し、原因を特定することが、適切な調整への第一歩です。主な原因は「蝶番の緩み」「ドアの反り」「建物の歪み」の3つです。
| 原因 | 特徴 | 主な対処法 |
| 蝶番のネジの緩み | ドアを開閉するたびに少しずつネジが緩むことで発生する。ドアがぐらつく、または少し下がっているように感じられる。 | ドライバーによるネジの締め直し 蝶番の位置調整 |
| 湿度変化によるドアの反り | 特に木製のドアは、湿度の変化によって水分を吸収・放出し、反りやねじれが生じることがある。 | 蝶番による調整 反りがひどい場合はドア交換も検討 |
| 建物の経年による歪み | 家自体の経年劣化や、地震などにより建物全体がわずかに歪むことで、ドア枠に影響が出ることがある。 | 専門業者による診断・修理が必要な場合が多い |
蝶番のネジの緩み
最も一般的で、ご自身で対処しやすいのが蝶番のネジの緩みです。ドアの重みや日々の開閉の振動で、蝶番を固定しているネジが少しずつ緩んできます。ドア全体がわずかに下がり、ドア枠や床に擦る原因となります。ドアを少し持ち上げるように力をかけた際に、蝶番部分にガタつきが見られる場合は、ネジの緩みが原因である可能性が高いです。
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湿度変化によるドア本体の反り
木製のドアは、梅雨時期の湿気や冬の乾燥など、室内の湿度変化の影響を受けやすい性質を持っています。湿気が多いとドアが膨張し、逆に乾燥すると収縮するため、反りやねじれの原因となりドアが枠に当たってしまうことがあります。特に新しい家や、季節の変わり目に症状が出やすい傾向にあります。
建物の経年による歪み
長年住んでいる家では、建物自体が少しずつ歪むことがあります。この歪みがドア枠に影響を与え、ドアとの間に隙間ができたり、開閉が困難になったりします。蝶番を調整しても改善しない場合や、複数のドアで同時に問題が発生している場合は、建物自体の歪みを疑う必要があります。この場合は、専門家による診断をおすすめします。
建て付けの不具合でこんな症状がおこる?
建て付けが悪いと言っても、その症状はさまざまです。ご自宅のドアがどの状態にあるのかを正確に把握することで、適切な調整箇所を見つけることができます。ここでは、代表的な症状を4つご紹介します。
| 症状 | 主な原因 | 確認する蝶番の部分 |
| ドアがドア枠に当たる | ドアの左右・前後のずれ | 左右調整ネジ、前後調整ネジ |
| ドアが床に擦れている | ドアの上下のずれ(下がり) | 上下調整ネジ |
| 隙間が均等ではない | ドアの左右・上下のずれ | 左右調整ネジ、上下調整ネジ |
| ラッチがかからない | ドアの左右・上下のずれ | 左右調整ネジ、上下調整ネジ |
ドアがドア枠に当たる
ドアを閉めようとすると、上部やラッチ(取っ手側)の側面がドア枠にぶつかるケースです。これは、蝶番の緩みによってドアが左右どちらかに傾いていることが原因と考えられます。どの部分が当たっているかを確認し、蝶番の左右調整機能を使って、ドアを正しい位置に戻す作業が必要です。
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ドアが床に擦れている
ドアを開閉する際に「ザー」という音がして、床に擦り傷がついてしまう症状です。ドアの重みで蝶番が下がり、ドア全体が下がってしまったことが主な原因です。放置すると、床材を大きく傷つけてしまう恐れがあるため、早めの対処が必要です。蝶番の上下調整機能を使って、ドアの高さを上げることで解決できます。
ドアとドア枠の隙間が均等ではない
ドアを閉めた状態で、ドア本体とドア枠の間の隙間を確認してみてください。上部、下部、左右のいずれかの隙間が極端に広かったり狭かったりする場合、ドアが傾いている証拠です。見た目が悪いだけでなく、気密性や防音性の低下にもつながります。上下左右の調整を組み合わせて、隙間が均等になるように調整します。
ドアを閉めてもラッチ(留め金)がかからない
ドアを閉めても「カチッ」とラッチ(留め金)が受け側(ストライク)にはまらない症状です。これは、ドアの高さがずれて、ラッチと受け側の位置が合わなくなっていることが原因です。この場合も、蝶番の上下調整機能でドアの高さを微調整することで、スムーズに施錠できるようになります。
ドアがきしむ、開閉がスムーズにいかないといった症状が出たら、蝶番の交換を検討しましょう。高品質なドア蝶番に交換することで、扉をしっかり支え、スムーズで静かな開閉を取り戻せます。
自分でできる!室内ドア建て付けの調整に必要な道具

ドアの建て付け調整は、特別な専門工具を必要としません。ご家庭にある基本的な工具で作業が可能です。作業を始める前に、必要なものを準備しておきましょう。
| 道具名 | 用途 | 備考 |
| プラスドライバー | 蝶番の固定ネジや調整ネジを回すために使用する。 | 必須。ネジのサイズに合ったものを用意すること。 |
| 六角レンチ | 一部の蝶番では、調整ネジが六角穴になっている場合がある。 | 蝶番のタイプを確認し、必要であれば用意する。 |
| 保護メガネ | ネジを回す際に、万が一の部品の飛散から目を守る。 | 安全のために着用がおすすめ。 |
| 軍手 | 手の保護や滑り止めのために使用する。 | ドアを支える際に役立つ。 |
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プラスドライバー
ほとんどの室内ドアの蝶番は、プラスドライバー1本で調整が可能です。蝶番を固定しているネジや、調整用のネジを回すのに使います。ネジ山のサイズに合ったドライバーを選ぶことが大切です。サイズが合わないと、ネジ山を潰してしまい、調整が困難になることがあるため注意しましょう。
あると便利な道具
必須ではありませんが、作業の安全性と効率を高めるために、いくつかあると便利な道具があります。作業中にドアを支える人の負担を軽減するために、ドアの下に挟む雑誌やクサビなどがあると便利です。また、蝶番の種類によっては六角レンチが必要になる場合もあるため、事前にご自宅のドアの蝶番を確認しておくと良いでしょう。
室内ドアの建て付け調整の具体的な手順
ここからは、実際の調整手順を症状別に解説していきます。蝶番には「上下」「左右」「前後」の調整機能がついています。NS蝶番などの調整機能付き蝶番には固定用のねじが備わっているため、作業前にこのねじを必ず緩めてから調整を始め、作業完了後はしっかりと締め直してください。
この手順を守らないと蝶番本体が歪んだり破損したりする原因となり、また、締め忘れると調整箇所がずれてしまう可能性があるので注意しましょう。
調整機能を持たない蝶番の場合は、既存のネジを締め直す程度の対応に留めましょう。特に賃貸住宅では、この方法で解決しない場合は無理をせず管理会社に相談することをおすすめします。
ご自宅の蝶番のタイプを確認しながら、慎重に作業を進めてください。作業する場合は必ず二人以上で行い、一人がドアを支え、もう一人が調整作業を担当しましょう。
| 調整方向 | 調整ネジの名称 | 主な症状 |
| 上下調整 | 上下調整ネジ | ドアが床に擦れる、ラッチがかからない |
| 左右調整 | 左右調整ネジ | ドアが枠の左右に当たる、隙間が不均等 |
| 前後調整 | 前後調整ネジ | ドアが枠から出っ張る・引っ込む、閉まりが悪い |
手順1:ドア全体が下がっている場合(上下の調整)
ドアが床に擦れる場合は、ドア全体を持ち上げる上下の調整が必要です。多くの蝶番では、下側の蝶番に上下調整ネジがついています。まず、上下両方の蝶番の固定ネジを少しだけ緩めます。次に、下側蝶番の調整ネジを時計回りに回すとドアが上がり、反時計回りに回すと下がります。床に擦れない適切な高さに調整できたら、最後に固定ネジをしっかりと締めて完了です。
手順2:ドアが左右にずれている場合(左右の調整)
ドアがドア枠の左右どちらかに当たる場合は、左右の調整を行います。上下の蝶番にある左右調整ネジを回すことで、ドアを左右に移動させることができます。まず固定ネジを緩めてから、調整ネジを回します。ドアを蝶番側に寄せたいか、ラッチ側に寄せたいかによって回す方向が変わります。ドアと枠の隙間が均等になるように、上下の蝶番を少しずつ交互に調整するのがポイントです。調整後は固定ネジを忘れずに締めましょう。
手順3:ドアが前後にずれている場合(前後の調整)
ドアを閉めた際に、ドア面がドア枠よりも出っ張っていたり、逆に引っ込んでいたりする場合は、前後の調整が必要です。この調整も、まずは固定ネジを緩めるところから始めます。前後調整ネジを回すことで、ドアを前後に動かし、ドア枠との面がそろうように調整します。微調整を繰り返しながら最適な位置を見つけ、最後に固定ネジを締めて固定します。
調整を行っても建て付けの不具合が改善しない場合は、ドア蝶番そのものの交換が必要かもしれません。長年使用した蝶番は摩耗や変形により、調整だけでは対応できないことがあります。高品質なドア蝶番に交換すれば、扉をしっかり支えてスムーズな開閉が蘇ります
建て付け調整を行う際の注意点
自分で建て付け調整を行う際には、安全に作業を進めるためにいくつかの注意点があります。簡単な作業に見えても、油断は禁物です。以下のポイントを必ず守り、安全第一で作業してください。
| 注意点 | 理由 |
| 二人以上で作業する | ドアは重量があり、作業中に倒れると大変危険。 一人がドアをしっかり支え、安全を確保すること。 |
| ネジを緩めすぎない | 固定ネジを完全に外してしまうと、ドアが落下する危険がある。 調整に必要な分だけ、少し緩める程度に留めること。 |
| 賃貸物件の場合はまず管理会社へ相談する | 自分で修理を行う前に、必ず契約内容を確認し、管理会社や大家さんに連絡すること。無断で修理するとトラブルになる可能性がある。 |
必ず二人以上で作業する
室内ドアは見た目以上に重く、一人での作業は非常に危険です。調整中にドアが倒れてきて怪我をしたり、床や壁を傷つけたりする可能性があります。必ず一人がドアを安定した状態で支え、もう一人がネジの調整作業を行うというように、役割分担をして安全に作業を進めてください。
ネジを緩めすぎない
調整を行う際には、蝶番の固定ネジを少し緩める必要がありますが、完全に外してしまわないように注意してください。ネジを抜き取ってしまうと、ドアの重みで蝶番が外れ、ドアが落下する恐れがあります。ネジは「ドアが少し動く程度」に緩めるのがコツです。
賃貸物件の場合はまず管理会社へ相談する
お住まいが賃貸物件の場合、建具の修理は自己判断で行ってはいけません。多くの場合、設備の修理は貸主の負担で行うことになっています。まずは管理会社や大家さんに状況を連絡し、指示を仰ぎましょう。勝手に修理をしてしまうと、退去時にトラブルの原因となる可能性があるので注意が必要です。
参考:住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について – 国土交通省
自分で調整しても直らない場合は専門業者へ

解説した方法で調整を試みても症状が改善しない場合や、そもそも調整ネジが見当たらないタイプの蝶番である場合は、無理に作業を続けるのは避けましょう。専門の知識を持つ業者に相談することをおすすめします。
| 項目 | 内容 |
| 業者に依頼するメリット | 専門的な知識と技術で、原因を正確に診断し、迅速かつ確実に修理してもらえる。 建物の歪みなど、根本的な問題を発見できる場合もある。 |
| 業者選びのポイント | 複数の業者から見積もりを取り、料金体系が明確であるかを確認する。 地域密着型のリフォーム会社や工務店、建具専門の業者などが選択肢となる。 |
| 費用相場 | 簡単な調整であれば数千円から1万円程度が目安だが、部品の交換やドアの加工が必要な場合は、数万円程度かかることもある。 |
無理な調整はさらなる悪化を招くことも
固くなったネジを無理やり回そうとすると、ネジ山が潰れてしまったり、蝶番自体が破損してしまったりすることがあります。また、原因の見立てが間違っていると、いくら調整しても直らないばかりか、かえって状態を悪化させてしまう可能性も考えられます。少しでも「難しい」「おかしい」と感じたら、作業を中断する勇気も大切です。
業者選びのポイントと費用相場
専門業者に依頼する際は、まずインターネットや地域の情報誌などで複数の業者を探し、見積もりを依頼しましょう。その際、出張費や作業費など、料金の内訳が明確に示されているかを確認することが重要です。建て付け調整のみであれば費用はそれほど高額にはなりませんが、蝶番の交換やドア本体の修理が必要になると料金も変わってきます。事前に作業内容と料金をしっかり確認し、納得した上で依頼するようにしましょう。
まとめ
室内ドアの建て付けの不具合は、多くの場合、蝶番のネジを調整することで改善できます。この記事で紹介した手順を参考に、まずはご自身での調整にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。作業の際は、安全に注意し、決して無理をしないことが大切です。
もし自分で調整しても直らない場合や、作業に不安を感じる場合は、速やかに専門業者に相談しましょう。日々の小さなストレスを解消し、快適で安全な住環境を保つために、ドアのメンテナンスを定期的に行うことをおすすめします。
弊社中尾製作所では室内ドアの建て付けに活用できる蝶番を様々なラインナップで準備しています。ご興味ある方はぜひご覧ください。



















