ドア 床に擦れる

ドアが床に擦れる原因は?初心者でも分かる蝶番の調整方法を解説します!

2025.10.7
SPECIAL FEATUREコラム
ドア 床に擦れる

ドアを開け閉めするたびに「ギーッ」と嫌な音がしたり、床に傷がついてしまったりしていませんか?

毎日使うドアだからこそ、このような不具合は小さなストレスになります。しかし、専門の業者に頼む前に、ご自身で解決できるかもしれません。多くの場合、ドアが床に擦れる原因は「蝶番(ちょうばん・丁番)」の調整で解消できます。

この記事では、ドアが床に擦れる原因から、初心者の方でも安全にできる蝶番の調整方法、そして調整しても直らない場合の対処法まで、分かりやすく解説していきます。

ドアが床に擦れるのを放置するとどうなる?          

ドアが床に擦れるのは、単に不快な音がするだけの問題ではありません。この小さな不具合を放置すると、より大きなトラブルに発展する可能性があります。

放置によるリスク具体的な内容
物理的ダメージフローリングやドアの化粧板に修復が難しい傷がつく
部品の破損蝶番が変形・破損し、ドアが脱落する危険性がある
構造上の問題家全体の傾きや歪みといった、より深刻な問題の兆候の可能性がある

床やドア本体に傷が付く

最も分かりやすい影響は、床とドア本体への物理的なダメージです。 擦れ始めは小さな傷でも、毎日繰り返し開閉することで傷は深く、広くなっていきます。フローリングのワックスが剥がれたり、ドアの塗装が削れたりすると、見た目が損なわれるだけでなく、修理費用も高額になる可能性があります。

蝶番がさらに損傷する可能性がある

ドアが傾いたまま無理に開閉を続けると、ドアを支えている蝶番に過度な負担がかかります。 これにより、蝶番の変形や破損につながる恐れがあります。蝶番が完全に壊れてしまうと、ドアが外れて転倒する危険性もあり、非常に危険です。

建物全体の歪みのサインかもしれない

頻繁に調整してもドアの擦れが再発する場合や、家の複数のドアで同時に問題が発生している場合は、建物自体の歪みが原因である可能性も考えられます。 特に、地震の後や、築年数が古い建物では注意が必要です。この場合は専門家による診断が必要になるため、放置は禁物です。

なぜドアは床に擦れてしまうのか?主な原因を解説

ドアが床に擦れる現象には、いくつかの原因が考えられます。原因を正しく特定することが、適切な対処への第一歩です。

蝶番(丁番)のネジの緩み

最も一般的で、かつ対処しやすい原因が蝶番のネジの緩みです。 ドアは毎日何度も開閉されるため、その振動が少しずつネジに伝わり、時間とともに緩みが生じます。ネジが緩むとドアをしっかりと支えきれなくなり、ドア本体の重みで垂れ下がるように傾いて、床に擦れてしまうのです。

蝶番とは?種類や選び方、取り付け方法まで分かりやすく解説します! » 中尾製作所オンラインショップ

経年劣化によるドア本体の傾き

長年使用しているドアでは、蝶番自体の摩耗や劣化も原因となります。 部品がすり減ることで、ドアを正しい位置で支える力が弱まり、傾きが生じるのです。また、ドアに物を掛けたり、お子様がぶら下がったりするなど、想定外の負荷が繰り返しかかることも、傾きの原因となります。

湿気による床やドアの変形

特に湿度の高い季節や、湿気がこもりやすい場所のドア(洗面所など)では、木製のドアや床材が湿気を吸って膨張することがあります。この変形によって、これまで問題なかったドアと床の隙間がなくなり、擦れが発生する場合があります。

建物自体の歪み

地震や地盤沈下、あるいは構造材の乾燥収縮などにより、建物自体がわずかに歪むことがあります。 建物が歪むと、壁に取り付けられているドア枠も影響を受け、結果としてドアが正常に開閉できなくなり、床に擦れるという症状が現れることがあります。

調整を始める前に確認すべきこと

ご自身で調整作業を始める前に、いくつか確認しておくべき点があります。安全かつスムーズに作業を進めるために、以下のポイントをチェックしましょう。

蝶番のタイプを確認する

まず、ご自宅のドアについている蝶番が調整可能なタイプかを確認します。 新しい住宅で使われている蝶番の多くは、上下・左右・前後に位置を調整できるネジが付いています(三次元調整蝶番)。蝶番にプラスチックのカバーが付いている場合は、それを外すと調整ネジが見えることがほとんどです。

一方で、古いタイプの蝶番には調整機能がないものもあります。古いタイプの蝶番では蝶番を取り外して調整や蝶番の交換をする必要があります。この機会に、ぜひ簡単にドアの調整ができる三次元調整調整蝶番に交換しませんか?

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必要な道具を準備する

蝶番の調整には、特別な工具は必要ありません。一般的には以下の道具があれば作業できます。

必要な道具用途備考
プラスドライバーネジの締め・緩めに使用ネジ山のサイズに合ったものを用意しましょう
六角レンチ一部の蝶番の調整で使用メーカーや型番によってサイズが異なります
手袋手の保護作業中のケガを防ぐために着用を推奨します
マットや雑巾床の保護ドアを取り外す場合に床を傷つけないように敷きます

電動ドライバーは力が強すぎてネジ山を潰してしまう可能性があるため、手回しのドライバーを使用することをお勧めします。

作業時の注意点を把握する

安全に作業を行うために、以下の点に注意してください。

安全に作業するための注意点

  • ネジを緩めすぎない:固定ネジを完全に外してしまうと、ドアが脱落する危険があります。調整に必要な分だけ緩めるようにしましょう。
  • ドアの重さに注意:作業は慎重に行い、ドアを支えながら調整してください。可能であれば2人以上で作業するとより安全です。
  • 少しずつ調整する:ネジは一気に回さず、90度ずつ回してはドアの動きを確認するなど、少しずつ調整を進めるのが成功のコツです。

【図解】ドアの擦れを解消する蝶番の調整手順

準備が整ったら、実際に調整作業に入りましょう。ここでは一般的な調整機能付き蝶番を例に、手順を解説します。

中尾製作所の公式YouTubeでは動画で蝶番の調整方法を紹介しているので、併せてご覧ください。

調整ネジの種類主な役割調整するケース
左右調整ネジドアの傾きを補正するドアの角が枠や床に当たる場合
上下調整ネジドア全体の高さを変えるドアの下全体が床に擦れている場合
前後調整ネジドアと枠の隙間を調整するドアを閉めた時の密着度を調整したい場合

手順1:ドアがどこに当たっているか確認する

まず、ドアをゆっくり開閉してみて、ドアのどの部分が床や枠に当たっているかを確認しましょう。 例えば、「ドアノブ側の下が床に擦れている」場合、ドア全体がドアノブ側に傾いていると考えられます。この原因を把握することで、どの蝶番をどちらに動かせばよいか判断しやすくなります。

手順2:蝶番のカバーを外す

蝶番にカバーが付いている場合は、手でスライドさせるか、マイナスドライバーなどを使って慎重にこじ開けて取り外します。カバーを外すと、調整用のネジが現れます。

手順3:蝶番の固定ねじをゆるめる

 調整ネジを回す前に、蝶番本体を固定している「固定ネジ」を少し緩めます。このネジを緩めることで、調整ネジを回したときにドアがスムーズに動くようになります。ただし、緩めすぎるとドアが急に動いてしまう可能性があるため、ドアを支えながら、ネジが少し動く程度に加減して緩めてください。

すべての蝶番の固定ネジを一度に緩めるのではなく、調整したい部分の蝶番から一つずつ作業するのがポイントです。

手順4:左右の傾きを調整する

ドアの傾きを直すには、左右調整ネジを回します。ドアノブ側が下がっている場合は、上の蝶番を吊元側(蝶番側)に寄せ、下の蝶番をドアノブ側に少し動かします。ネジを回す方向は蝶番に矢印で示されていることが多いですが、なければ少し回してみてドアの動きを確認しながら調整しましょう。

手順5:上下の高さを調整する

ドア全体が下がっていて床に擦れている場合は、上下調整ネジでドア全体の高さを調整します。 一般的に、下側の蝶番に上下調整ネジがあり、これを時計回りに回すとドアが上がり、反時計回りに回すと下がります。

手順6:前後の位置を調整する

ドアを閉めたときに、枠とドアの間に不均一な隙間がある場合は、前後調整ネジで調整します。このネジを回すことで、ドアと枠の密着度を調整できます。

手順7:固定ネジを締めて完了

調整が終わったら、最初に緩めた固定ネジをしっかりと締めます。最後にカバーを元に戻し、ドアを数回開閉して、擦れや異音が解消されたかを確認すれば作業は完了です。

蝶番の調整で直らない場合の対処法

蝶番を調整してもドアの擦れが改善しない場合や、調整機能のない蝶番の場合は、他の方法を検討する必要があります。

蝶番自体を交換する

経年劣化により蝶番自体が摩耗・破損している場合は、調整では直りません。 この場合、同じ型番の蝶番を購入して交換する必要があります。ドアを一度取り外す作業が必要になるため、重量のあるドアの場合は特に注意が必要です。作業に不安がある場合は、無理をせず専門業者に依頼しましょう。

ドアや床を削る

応急処置的な方法ですが、ドアの底面や床の一部をカンナなどで削って、物理的に隙間を作る方法もあります。ただし、これは見た目を損なう可能性があり、一度削ると元に戻せないため、最終手段と考えるべきです。賃貸物件の場合は絶対に行わないでください。

専門業者に修理を依頼する

自分で対処するのが難しいと感じた場合は、無理せずプロに相談するのが最善の選択です。 リフォーム会社や建具の専門業者であれば、原因を正確に診断し、最適な方法で修理してくれます。費用はかかりますが、安全かつ確実に問題を解決できます。

ドアの擦れに関するよくある質問

ここでは、ドアの擦れに関してよく寄せられる質問にお答えします。

調整機能がない蝶番の場合はどうすればいい?

古いタイプの調整機能がない蝶番の場合、ワッシャー(座金)を挟み込んで高さを調整する方法があります。ドアを持ち上げて蝶番の軸にワッシャーを入れることで、ドア全体を少し持ち上げることが可能です。ただし、ドアの取り外しが必要なため、作業は慎重に行ってください。根本的な解決には、蝶番自体の交換が推奨されます。

賃貸物件の場合は誰に相談すべき?

賃貸物件でドアの不具合が発生した場合は、まず大家さんや管理会社に連絡してください。自分で修理しようとすると、かえって状況を悪化させてしまったり、退去時に修繕費用を請求されたりする可能性があります。経年劣化による不具合であれば、貸主の負担で修理してもらえることがほとんどです。

業者に依頼した場合の費用相場は?

業者に修理を依頼した場合の費用は、作業内容によって大きく異なります。蝶番の調整だけで済む場合は5,000円~15,000円が一般的で、場合によっては20,000円~40,000円になることもあります。蝶番の交換やドアの交換が必要になると、部品代と工賃で数万円以上になることもあります。依頼する際は、必ず事前に見積もりを取り、作業内容と費用を確認しましょう。

まとめ

ドアが床に擦れる問題は、多くの場合、蝶番の調整という簡単な作業で解決できます。 まずは原因を見極め、必要な道具を揃えて、本記事で紹介した手順を参考に挑戦してみてください。

もし自分で調整しても直らない場合や、作業に少しでも不安を感じる場合は、無理をせずに専門の業者に相談することが大切です。日々の小さなストレスを解消し、快適な住空間を取り戻しましょう。

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