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毎日開け閉めするクローゼットの扉が、ある日突然「うまく閉まらない」「扉が傾いている」「変な音がする」といったトラブルに見舞われることがあります。
多くの場合、その原因は扉を支えている「蝶番(ちょうつがい・丁番とも書く)」にあります。
「修理を業者に頼むと高そう…」と、そのままにしていませんか?実は、クローゼットの蝶番の交換や調整は、ポイントさえ押さえればDIYでも十分可能です。
この記事では、蝶番の種類から正しい部品の選び方、具体的な交換・調整手順まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
蝶番を交換するタイミングについてはこちらをチェックしてください。
住宅用開き戸蝶番の交換のタイミングとチェックリスト » 中尾製作所オンラインショップ
クローゼットの扉に不具合が起きる主な原因
まず、なぜクローゼットの扉に不具合が起きるのか、その主な原因を知っておきましょう。原因が分かれば、対処法も明確になります。
丁番(蝶番)の経年劣化や破損
最も多い原因が、蝶番自体の劣化や破損です。長年、重い扉を支え続けてきた金属部品は、徐々に摩耗していきます。また、プラスチック部品が使われている蝶番は、経年で硬化してもろくなり、ある日突然割れてしまうことも少なくありません。部品が物理的に壊れている場合は、交換する以外の選択肢はありません。
ネジの緩みによるガタつき
日々の開閉による振動で、蝶番を固定しているネジが少しずつ緩んでくることがあります。ネジが緩むと扉がガタつき、正しく閉まらなくなったり、床や枠に擦れたりするようになります。この場合は、ドライバーでネジを締め直すだけで改善することがほとんどです。
扉自体の重さによる歪み
特に、幅の広い大きな扉の場合、扉自体の重みで少しずつ蝶番の取り付け部分や扉自体が歪んでくることがあります。この場合は、蝶番の調整機能を使って、扉の位置を上下左右に微調整することで対応します。
クローゼットで使われる代表的な蝶番の種類
クローゼットの扉には、いくつかの種類の蝶番が使われています。交換部品を間違えないためにも、自宅のクローゼットにどのタイプが使われているか確認しましょう。
スライド蝶番(キャビネット丁番)
現在のクローゼットやキッチン扉で最も一般的に使われているのが「スライド蝶番」です。扉を閉じたときに蝶番が見えなくなるため、デザインがすっきりするのが特徴です。扉の取り付け後でも、ネジを回すことで前後・左右・上下の位置を微調整できる高い機能性を持っています。
平蝶番や旗蝶番
比較的古いタイプの家具や、シンプルな構造の扉に使われることがあるのが「平蝶番」や「旗蝶番」です。スライド蝶番のような細かい調整機能はありませんが、構造がシンプルで頑丈なのが特徴です。交換の際は、同じサイズ・同じネジ穴位置のものを選ぶことが重要です。
折れ戸用の特殊な蝶番
クローゼットが中央で折れ曲がる「折れ戸」タイプの場合、扉同士を連結するための中間蝶番や、扉を回転させるための軸吊り(ピボットヒンジ)といった特殊な部品が使われています。これらが破損した場合も、基本的には同じ型番の部品を探して交換することになります。
DIYの前に!交換部品と工具の準備

作業をスムーズに進めるため、事前に正しい部品と必要な工具を揃えておきましょう。準備がしっかりしていれば、作業時間の短縮にも繋がります。
交換用蝶番の正しい選び方
交換用の蝶番を選ぶ際は、必ず「現在ついているものと全く同じ種類・サイズ」のものを選んでください。特にスライド蝶番は、「全かぶせ」「半かぶせ」「インセット」といった扉の取り付けタイプや、カップ径(扉に埋め込まれている部分の直径)など、確認すべき点が多くあります。壊れた蝶番を一度取り外してホームセンターに持参し、店員の方に相談するのが最も確実な方法です。
蝶番の交換に必要な工具
蝶番の交換作業は、基本的な工具があれば十分に行えます。
必須の工具 | 主な用途 |
プラスドライバー | 蝶番の着脱、調整ネジの操作に使用します。サイズに合ったものを用意しましょう。 |
キリ | 新しくネジ穴を開ける必要がある場合、下穴を開けるのに使います。 |
メジャー、定規 | 取り付け位置の確認に使います。 |
作業用手袋 | 安全のために着用を推奨します。 |
もしネジ穴が緩んでしまっている場合は、木工用パテや爪楊枝、木工用ボンドなど、穴を埋めるための補修材も用意しておくと良いでしょう。
【手順解説】クローゼット蝶番の交換と調整方法

準備が整ったら、いよいよ交換作業です。ここでは、最も一般的なスライド蝶番を例に、交換と調整の手順を解説します。
手順1:古い蝶番を取り外す
まず、扉を支えながら、古い蝶番を取り外します。スライド蝶番の場合、多くは本体と座金(壁側に取り付けられた土台)の2パーツに分かれています。本体後方のネジを緩めたり、ボタンを押したりすることで、工具を使わずに扉を座金から取り外せるタイプがほとんどです。その後、ドライバーで扉側と壁側の両方の部品のネジを外して取り除きます。
手順2:新しい蝶番を取り付ける
取り外した時と逆の手順で、新しい蝶番を取り付けます。まずは扉側に蝶番のカップ部分をはめ込み、ネジで固定します。次に、壁側に座金を固定します。このとき、既存のネジ穴がそのまま使える場合がほとんどですが、もし穴が緩くなっている場合は、補修材で一度穴を埋めてから作業してください。最後に、扉を持ち上げて蝶番本体を座金にカチッとはめ込み、扉を吊り込みます。
手順3:扉の傾きやズレを調整する
扉を取り付けたら、最後に微調整を行います。スライド蝶番には通常2〜3個の調整ネジがあり、それぞれが扉の上下、左右、前後の位置を調整する役割を持っています。扉を少しずつ動かしながら、隣の扉や枠との隙間が均等になるように、各ネジを少しずつ回して調整していきましょう。どのネジがどの動きに対応するかは製品によって異なるため、焦らず一つずつ試しながら最適な位置を見つけてください。
蝶番の取り付け方のコツや調整方法についてはこちらをご覧ください。
ドア蝶番の付け方完全ガイド!初心者でも失敗しない取り付け手順 » 中尾製作所オンラインショップ
蝶番の交換で失敗しないための注意点
最後に、DIYでの蝶番交換で失敗しないためのポイントを3つお伝えします。
必ず同じ種類とサイズの蝶番を用意する
最も重要な注意点です。見た目が似ていても、メーカーや型番が違うとアームの長さやネジ穴の位置が微妙に異なり、うまく取り付けられないことがよくあります。可能な限り、壊れた蝶番に刻印されているメーカー名や型番を手がかりに、全く同じ製品を探すようにしてください。
ネジは締めすぎない
ネジを強く締めすぎると、ネジ穴が潰れて「空回り(ネジが効かない状態)」の原因になります。特に電動ドライバーを使う場合は、トルクを弱めに設定し、最後は手で優しく締め込むようにしましょう。
作業は2人で行うと安全
クローゼットの扉は意外と重く、一人で支えながら作業するのは大変危険です。扉を取り外したり、取り付けたりする工程だけでも、家族や友人に手伝ってもらうことを強くおすすめします。
まとめ
クローゼットの蝶番の交換は、正しい部品を選び、丁寧な手順を踏めば、決して難しい作業ではありません。日々の小さなストレスだった扉の不具合が自分の手で解消できたとき、大きな達成感が得られるはずです。この記事を参考に、大切な住まいのメンテナンスに挑戦してみてください。